ブログ

活動の様子や、南山の街の様子などを綴ります。

【連載】エリアマネジメントと区画整理の違いは?

2020年10月20日


0)はじめに

エリアマネジメント南山(以下エリマネ)のウェブサイト上で、区画整理やエリアマネジメントのこと、エリマネの活動などの紹介を少しずつ連載していくことになりました。

連載のきっかけは、今年度、開催を予定していた「区画整理事業・エリアマネジメント南山の活動説明会」が、新型コロナウイルスの感染予防の観点から中止になったことから。

ふだんの生活のなかで、なかなか聴き慣れない用語や、区画整理事業のこと、「エリアマネジメント」という新しい言葉の意味合いや目指す姿について、少しずつ噛み砕いてお伝えしていければと思います。

図を用いながら、なるべく分かりやすくお伝えできらたらと思っています。
ニュースレターの配布と合わせて、月に1回、ちょっとだけお付き合いいただければ幸いです。

それでは、連載第1回は「エリアマネジメントと区画整理の違いは?」です。


1)区画整理とは

南山の区画整理の正式名称は「南山東部土地区画整理事業」。京王相模原線の高架の線路の南側、京王よみうりランド駅から稲城駅の間の山に、まちを作っています。

山に土地を持っていた個人や企業を含めた300人近くの地権者が、組合員として集まり組合をつくっています。

「区画整理」は、複雑に入り組んでいた畑や雑木林だった土地を、家や商業施設、公共施設道路や上下水道や電気といったインフラを整備できるように「まちの設計図」をつくり、それに沿って開発(造成)を進めています。

少し話がそれますが、道路や公園という公共用地(=地域に必要なインフラ)をつくるために、地権者がもつ元々の土地から、それぞれ平等に土地を提供すること(=減歩)がルールとなっており、南山の場合、その割合(減歩率)が「68.16%」と、非常に高い割合になっています。
例えば、100㎡あったら、約68㎡を道路のような町のインフラのために提供し、自分の土地として戻ってくるのは、わずか残りの32㎡。まちをつくるために、代々資産として所有していた土地の多くを提供しているわけです。
※減歩率については、別に記事をつくり詳しく説明する予定です。

話を戻します。
区画整理は、まちの土台となる道路や上下水道や電気といったインフラを整備します。事業資金を生み出すために、区画整理組合が土地を販売し、不動産会社が土地を買って、住宅地をつくり販売したり、地権者が整理されて戻ってきた土地を個々に売却して、マンションや商業施設を建てたりしていくなかで、お店ができたり、私たちが住む住宅が少しずつ建てられていきます。そうして、少しずつまちがつくられていきます。

期間としては、区画整理事業は「まちをつくるまで」が事業期間。家が建ち、商業施設ができ、公園ができ、事業の終了期間となったら、区画整理組合は解散します。

つまり、まちが出来上がったあとのことには、基本的にタッチすることができないのです。

区画整理事業の最新情報は、区画整理組合のウェブサイトをご覧ください。


2)エリアマネジメントとは

一方、エリアマネジメントは「まちでの暮らし」をどうつくっていくか、という目線で活動に取り組んでいます。区画整理組合は事業終了と共に解散してしまうので、そのあとの地域に関する活動をしていく組織としては、活動していくことができません。

これまでの一般的な「区画整理」は、まちを作っておしまい、あとはそこに住む住民にお任せします、もしくは行政の管理下となる、という形でした。

しかし、南山は「まちをつくっておしまい」ではなく、その後の「暮らしぶり」や「地域の自治」に「住む人自らの意見を反映していく」ために、活動を担う組織として「エリアマネジメント南山」が立ち上げられました。(立ち上げの詳しい経緯やこれまでの歴史についても、別記事にまとめたいと思います。)


3)区画整理とエリアマネジメントの違い

さて、本題の「区画整理とエリアマネジメントの違い」ですが、時間軸で違いを見ていくと、先述したように「まちができるまで」に必要な整備を担うのが区画整理「まちができたあと」に必要な、地域の自治や、課題解決・価値向上の役割を担うのがエリアマネジメントというそれぞれの役割の違いがあります。

まちづくりの分野では、「ハード」と「ソフト」という言い方もあり、

「ハード=箱物」をつくるための土台をつくるのが、区画整理、「ソフト=コミュニティ』に関する活動を行うのが、エリアマネジメント。
という言い方もできます。

南山の場合はさらに、元々山だったこと、周辺には緑が多く残っていることから、コミュニティに加えて、残された緑・再生や管理をしていく「緑との関係性づくり」も大切な役割の一つとしています。

「区画整理」と「エリアマネジメント」。こんな風に、それぞれの担い切れない要素を互いに補いつつ、南山のまちをつくり育てていくことを誰かにおまかせするのではなく、自分たちの意思を反映し、行動を起こしていくために活動を続けています。

それぞれ、前提となるお話も必要だったため、長くなってしまいましたが、第1回目の連載はここでおしまいです。最後まで読んでいただきありがとうございました!