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活動の様子や、南山の街の様子などを綴ります。

【連載】エリアマネジメントと自治会の違いは?

2020年11月18日


エリアマネジメント南山の活動のあれこれをお伝えしていく連載記事の第2回目。
今回は「自治会とエリアマネジメントの違いは・・・?」です。

地域での活動を担うそれぞれの組織について、どのような違いがあるか、それぞれの役割などをまとめたいと思います。
ただ、それぞれの特徴や役割を事細かに書いていくと長くなってしまうことと、この記事の趣旨からは外れてしまう内容もあるため、大まかな概要とそれぞれの活動領域に限定して書いていくこととします。

それでは、まずは自治会についての説明から始めます。


1)自治会とは

地域の活動を担う組織として、よく知られているのは各地区ごとにある自治会です。全国には約30万の組織があり、名称も自治会、町内会、町会など様々です。稲城の場合は「矢野口・東長沼・百村・坂浜・大丸・押立・平尾・向陽台・長峰・若葉台」といった大字の地区ごとにあるほか、大規模な集合住宅ごとに立ち上げられている自治会もあります 。

自治会は、地域の課題や困りごとを住民同士で話し合い解決したり支えあう、自主的に活動を行っている地域自治組織です。

基本的に任意団体となるため、法律で細かく運営の仕方が定められているわけではなく、会のルール(規則や規則)は、住民同士で話し合い、無理のない範囲で、年度計画や会費を定めて運営が行われています。

家単位としての地域のつながりから、個人単位のつながりに市民意識が大きく変化してきているとともに、地域の連帯感や、人間関係が希薄になり、自治会の活動に無関心な世帯が増えてきており、加入率も低下してきておりますが、少子高齢社会における地域福祉の向上や行政との協働によるまちづくりなど、見直されてきている地域もあります。

有事の時には近くに住む人同士での助け合いも必要となってきます。東日本大震災では地域の“きずな”が改めて見直されました。地域防災力の向上の面からは、自主防災組織としての役割も担っている自治会も多いようです。

自治会では、現在、同じ地区に住む同士、安心して居心地よく暮らしていけるように、防犯パトロールや地域の美化活動、広報など、住みよい地域社会の創造に向けた取り組みを行っています。


2)エリアマネジメントとは

第1回目の記事「区画整理とエリアマネジメントの違い」でも書きましたが、区画整理事業により創られる新しいまちで、住民の意見を地域に反映し地域に関する活動を行っていく、行動を起こしていくための組織として、エリアマネジメント南山が立ち上げられました。

エリアマネジメントの組織は、国交省の資料(平成26年度時点)によると全国で76団体ありますが、南山では「まちが出来上がる前から=区画整理が終了する前から」エリアマネジメント組織を立ち上げ、活動をスタートさせました。周辺の自然を生かした農業体験や、交流会の開催など、地域のことを知ったり一緒に住まう人同士の交流のきっかけづくりを行い、早くこの地域のことを知っていただき、自分たちの生活環境の向上や、生活の充実に寄与できればと思い、取り組んできております。

おいでよ!南山 プラウドシティ南山 入居前の子育て交流会の様子


南山に残る里山風景

活動としては新しく創られたまちに必要な、地域の自治や、課題解決・価値向上の役割を担っているほか、開発前からの地域の希少種の保全や、残された地域にある緑を管理したり、緑を再生したりしていくこともエリアマネジメント南山の大切な役割の一つと位置付けました。

南山の区画整理事業は「東長沼・百村・矢野口」の地区にまたがっているエリアで事業が進行中で、現状は、各住戸はそれぞれ現在の住所の自治会に加入する形となっています。区画整理事業が完了するまでには、自治会の組織がどのようになるのかについて決まっていくものと思いますが、いずれにしても、地域課題の解決や、安心できる地域をつくっていくことに関しては、既存の自治会の活動と重なる部分もありますので、将来的には、自治会活動以外の地域の住民による主体的な活動を中心に取り組んでいくことになります。


区画整理事業の計画図 ※南山東部土地区画整理組合のウェブから参照


3)自治会とエリアマネジメントの違い・役割について

さて、それぞれの概要を紹介したうえで「自治会」と「エリアマネジメント」の違いについて、説明していきたいと思います。

「自治会」と「エリアマネジメント」の活動領域について、下記のように図に書き起こしてみました。

内側の青い円が自治会の活動領域、エリアマネジメントの活動領域が黄色の円です。

活動の目的としては、短くまとめると以下のようになり、異なる目的を持ちますが、補完し合える関係性を目指しています。

・自治会の目的
「地域内の課題解決や安心安全な暮らしを支える」(行政の補完的な活動も含む)

・エリアマネジメント南山の目的
「区域並びに隣接する里山の自然環境の維持活用」
「住民による主体的な活動」

「事業者を含む地域内外の団体との連携も含めた、まちの価値向上に向けた活動」

自治会もエリアマネジメントも、どちらも住民による主体的な関わりを前提としている点は同じですが、エリアマネジメントはより広い視点と関係性のもと、街の価値向上を目指して活動しています。

活動の担い手としては、地区内に住む人たちだけでなく、事業者(地域内にあるお店)や、地域で活動するNPO団体、活動の趣旨に賛同する個人、小学校・保育園なども対象となっています。南山エリア内外の団体や個人とも関わりを持ちながら、それぞれの関係者が得意とするものを持ち寄り、マネージメントしながら活動の幅を広げていっています。

具体例をあげると、毎年10月に行われている「南山 de ハロウィン!」では、稲城駅周辺のお店が加入している「縁結び友i商店会」や、エリア内の店舗にご協力いただき、年々規模を拡大しながら開催しています。今年は、大人と子ども、運営スタッフや参加店舗も含めると400人近い規模でのイベントとなりました。


4)まとめ

「自治会」と「エリアマネジメント」は今のところ活動に関して重なる部分も多く、分かりづらい面もあることと思います。今後、街ができてきて人口も増えていくことに伴って、自治会活動と、エリアマネジメントの活動がより明確になり役割分担がされていくようになります。防災・防犯や環境美化といった取り組みは自治会が、交流の場づくりやにぎわいづくりや、里山の維持管理はエリアマネジメント南山が、というように、お互いに得意なことを生かしながら、より良い地域をつくるために活動をつづけていきたいと思います。

行政の公共サービスの提供には限界が有ります。行政に頼るだけではなく、住民主体の望ましい生活環境の創造活動の拠点になれればと思います。